デジタル・ヒストリー

留学生活一年目、終了。

2014年、夏、留学生活一年目を迎えました。このブログも、もうすぐ一年目を迎えようとしています。そこで、私とデジタル・ヒストリーというテーマで、一年間を振り返ってみようと思います。もっと、かっこいいテーマが、思いつかなかったもんで・・・。

ジョージ・メーソン大学へ留学してから、デジタル・ヒストリーという、未知の分野に足を踏み入れることになり、私の今までの歴史に対する学習方法はがらりと変わりました。まず、秋学期に「デジタル・ヒストリーとは何か?」というセオリーばっかの授業を受けてから、春学期は実際に、デジタル・メディアを使って歴史を語る、というプラクティカルな手法を学びました。そこで、今まで苦手だと思っていた、難しそうなソフトウェアやデジタル・ツールを使い、HTML&CSSのコーディング、フォトショップで歴史の写真の復元の仕方など、様々なテクニックを勉強してきました。

授業やワークショップ中は、最新の情報から置いていかれないように、そして吸収できるものはすべて吸いとってやる、という気持ちで必死でした。いちから覚えることばかりで、とてつもない情報量と、覚えないといけないスキルを、目の前に焦りも感じました。でも、意外とコーディングが楽しくて、ウェブデザインも、自分には向いていたように感じます。もちろん、デザインのセンスなんて全くありません。色やレイアウト、フォントについても、ちょこっと勉強しただけで、あとは全部勘で適当にやっていました。でも、いつもとは違う部分の脳をフル活用し、少しずつ形になっていく、という今までの勉強とは味わったことのない楽しみを知りました。それに、いつも勉強中は、音楽はかけないけど、コーディングしているときは、音楽があったほうが、私は集中できました。しかも、クラシックではなく、ポップやロックのほうがいい。だから、大好きな韓流グループの歌を、大音量で流しながら、課題ができるなんて、もう嬉しくてテンションがあがりました!

この一年間、学んできたことは、一見、歴史とは全く関係のないようなスキルですが、デジタル化が進むなか、ヒストリアンも歴史とデジタル・メディアを同時に学んでいかなければならないと、日々、強く感じます。日本でも、最近、多くの資料がデジタル化されたり、デジタル・ツールが開発されたり、デジタル・ヒューマニティーが注目されるようになってきたと思います。今の私には、アメリカで学んだことを、そのまま真似することしかできませんが、今後、デジタル・ヒストリーを自分の研究にどううまく取り入れられるかについて、考えてみたいです。もちろん、一次資料を片っ端から調べ、時間をかけて何度も読み返す、という従来の研究方法も大事ですし、絶対に続けていくべきです。古い本や紙の匂いも好きです。でも、そこでストップするのではく、今までの研究方法に加え、デジタル・ツールを使うことによって、想像もしていなかった結論を導き出す可能性に期待してみるのもいいでしょう。

最後に、一年間、一緒に勉強してきたクラスメート、日本から応援してくれた家族、親友、教授、またアメリカで出会った素敵な日本人のお友達に、感謝しています。ほんとうに、ほんとうに、ありがとう!

ファイナル・プロジェクト完成!そして、反省&感想。

デジタル・ヒストリーのファイナルプロジェクトが完成しました。リンクはこちらです:http://mikaendo.com/final/.
コンテンツには、あんまり時間をかけなかったので、内容はさらっと見てください。どちらかといえば、HTML&CSSコーディングやウェブデザインを見ていただければと思います。
そして、今学期の全てのアサイメントをリンクしたページがこちらです:http://mikaendo.com/index.html.
新しくAbout Pageを作り、PDFファイルのCVも付け加えました。またコーディング以外に、フォトショップを使った歴史の写真の復元テクニックもぎゅっと詰めたサイトです。
最後の三日間は、あまり寝れず、ひたすらパソコンの前で過ごして作り上げたウェブサイト。決して完璧とはいえませんが、出来上がったときは、ここまでできたんだという喜びでいっぱいでした。コーディングも、所々あやしい箇所はありますが、今は大目にみてください。
ファイルや画像をFTPファイルに移す作業のとき、フォルダ&ファイルのネーミングで頭がごちゃごちゃになったり、たった一つのdivの位置が間違っていることで、ウェブサイト全体のレイアウトがおかしくなって、一晩中どこのdivが間違っているか探したり、ほんと苦労ばかりでした。
さらに、960gridと出会ってからは、CSSのスタイルシートが簡単になり、なんでもっとこれと早く出会わなかったのだろうと思った一方、HTMLのdivとclassが多くなったような気がして、また頭がこんがらがったり・・・。でも、失敗から学ぶことはたくさんあり、これらの時間は全て無駄ではなかったと思います。
反省点としては、how to apply history on webということを、もう少し考えて作ればよかったなと思います。ユーザーの立場にたってみれば、もっと面白いものを作ることができたはず。しかし、二週間前は、終わらせることに必死で、そのようなことを考える余裕は、おそらくなかったのだと思います。また、今の私のスキルでは、このようなシンプルなページを作るだけで、いっぱいいっぱいです。
これで、必修でもあったデジタル・ヒストリーの授業が全部終わりました。しかし、この一年間、デジタル・ヒストリーの授業を受けてきた結果、デジ・ヒスにハマってしまい、次の秋学期も、引き続き似たような授業を取ることにしました!大丈夫か、自分?って突っ込みたくもなります。でも、いつかこの分野を自分のものにして、近い将来、日本で教えられたらいいな、というのが私の願望です。叶う、叶わないは別!

歴史家もデザインのスキルが必要!

今学期デジタル・ヒストリーの最初の授業で、さっそくドリームウィーバーを使い、HTMLとCSSのコーディングをしました。

今のところ、友達の助けもあり、なんとか順調に進んでいます。普段使わない部分の脳を使っているようで、刺激的です。それに、ほんのちょっとではありますが、楽しむ余裕もでてきました。

 

先週と今週の授業では、デザインとtypefaceについて考えました。普段何気なく使ってるフォントについて、実はあんまり考えたことがなかったかも。

論文やレポートを書くときは、何も考えずTimes New Romanの12ポイントに設定してるし、アカデミックなペーパーだったら、これが一番無難かなっていう理由で使っていました。

パワーポイントで発表するときも、迷わず何も考えもぜず、同じフォント。私って、もしかして、つまらないかも・・・。

でも、歴史をしているわけだし、デザインやフォントより、研究内容の方が重要だろう、と信じ込んでいました。

確かに、研究の中身がしっかりしていないと、いくらデザインがよくても説得力はありません。

でも、今このデジタル・メディアとインターネットの時代では、デザインを無視することはできなくなりました。

歴史をしているからといって、私も知らないふりをしていられません。

プロに任してもいいんではないか、という意見もありますが、せっかくなら、基本的なことだけでも知っておきたいです。

 

まず私は、なぜデザインに疎いのだろうか考えてみました。

考えた結果、それは今まで自分の研究のプレゼンスタイルが、論文またはパワーポイントと限られた方法でしかやったことがなかったからだと思います。

この授業を受ける前は、ウェブサイトを作るなんてことはなかったし、ウェブサイトを通して、自分の研究を伝えようとも思いもしませんでした。

人はウェブサイトを見て、たったの7秒、もしくはそれ以下で、そのページに残るかどうか判断すると聞いたような・・・。今の若い人であったら、2秒で決めちゃうとか・・・。(本当かどうかはわかりません。先生が授業中に言ったことを、私は信じているだけです。)

もし本当にそうであるのなら、私も今までの地味なプレゼンスタイルを変えていかなければ、せっかく作ったウェブサイトも、誰も見てくれません。

そこで、もっと見たいと思うようなサイトと、すぐに「戻る」をクリックするサイトの違いの一つは、「デザイン」であると思います。

デザインの基本的なルールを理解し、フォントをより工夫することで、さらに魅力的なウェブサイトができます。

そこで、授業で使っている教科書の一部を紹介:

HagenとGolombiskyのWhite Space is Not Your Enemyと、LuptonのThinking With Type.

例えば、ウェブサイトを見るときは、見る順番・流れというものがあり、人の目の流れをコントロールするストラクチャーを作ること。また、多くのオーディエンスを含めたいのであれば、カラーブラインドなどの人にとっては、ハイパーリンクをアンダーラインにした方がわかりやすいこと。

 

デジタル・ヒストリーとは、従来の歴史の教え方・学び方を越え、歴史をもっと面白くすることのできるツールだと、私は信じています。

最初は、なんでこの授業が必修で、なぜドリームウィーバーの使い方を学び、デザインの本を読んでいるのだろう、と思っていました。

しかし、歴史を子供にも、中学生にも、大人にも、いろんな世代の人達に触れてもらうためには、デジタル・メディアの力を借り、一見全く関係のないようなデザインという分野も、歴史家にとって、これから重要なスキルの一つになっていくと思います。

人を惹き付けるような、ウェブサイトを作り、もっといろんな人に、私の研究を知ってもらいたいたいです。そして、歴史は面白い、ということをより多くの人に伝えられていけるよな歴史家になれたらいいな。

 

こんな思いを持ちながらも、実際、今できたウェブサイトがこれです:www.mikaendo.com

デザイン&ストラクチャーはシンプルで、ナビゲーションバーも、まだリンクできてなくて、一昔前のホームページみたいです。

これから、覚えることがまだまだたくさんあります。

ついに完成!デジタル・ヒストリーのプロジェクト

ついに完成しました!

デジタル・ヒストリーのファイナルプロジェクトのホームページです!ここをクリックしてください。

このウェブサイトの目玉は、初めてArcGISを使って作ったオリジナルの地図です。(時間がなかったので、とても雑ですが・・・。)

 

今年8月、この大学へ来てから、いきなり何も知らないデジタル・ヒストリーについての授業を受けることになり、最初はどうなるかと思いました。

ホームページなんて作ったことないし、ブログやツイッターなんてやったことなかい自分が、果たしてこの授業についていけるのか、ほんとうに不安でした。

でも、クラスメイトや教授にたくさん助けてもらい、授業以外の時間でも手伝ってもらったりしながら、やっとここまでたどり着きました。

そして途中、理解できなさすぎて、諦めそうになったことも、何度もありましたが、結局は自分の研究内容に置き換えて考えていたので、なんとか乗り越えることができたのだと思います。

これから歴史の学び方、教え方、研究の方法は、時代とともに変わって行くと思います。そのときに、ここで学んだデジタル・ヒストリーはとても役立つと思います。

歴史家だからといって、デジタル・ヒューマニティーズを無視することはできません。これからは、歴史家も、もっと積極的に、デジタル・ヒューマニティーズの会話に参加し、デジタル・ヒストリーの分野に貢献していかなければなりません。

歴史というものを、もっとみんなに知ってもらうため、そして歴史は楽しい、ということを伝えていくためにも、今後デジタル・ヒストリーについての勉強が必要だと思います。

 

最後に、今セメスター、日本語のブログを全く更新できなかったことに、反省しています。

今後は、デジタル・ヒストリー以外の話題や、留学生活などの話も含めながら、ブログを続けられたらと思います。

19日までに、あと4つペーパーを書かなければなりません。それまで、しばらくの間は、このブログをお休みしますね。

それでは、みなさん、風邪ひかないよう、あたたかくお過ごしください♪

ウィキペディアのエディティング

今まで何度かウィキペディアを利用したことはあるけど、修正したことはありませんでした。

授業中、ウィキペディアを修正したことある人?っと先生が聞いたら、4人くらいの手があがりました。

よかった、私だけじゃなかったんだ(でも4人もいたんだ)と思いながら、これを機会に私も修正してみようと思いました。

そこで、私が選んだウィキペディアのページは、ウォルター・プレッカーという人物についてです。

彼は、1912年から34年間、ヴァージニア州の人口統計局で働いていました。

優生学をもとに、黒人は白人より劣っているという考えを正当化し、「白人」の人種を守るためには、どんな手を使ってでも、黒人との混血を阻止しようとしました。

白人優越主義の団体アングロ・サクソン・クラブ・オブ・アメリカのリーダーでもあったプレッカーは、1924年にヴァージニア州で歴史上もっとも厳しいと言われている異人種間結婚禁止法をつくりました。

また彼が、ヴァージニア州の先住民にたいしてとった行動は、今でも多くの部族に大きなダメージを与えています。

私にとって、こんな憎くも、研究し続けるのに価値ある人物について、どこから修正するべきか?

ほんとうに冷静になって書けるのか、といろんなこと考えながら、まずは正確な情報を書き足すことから初めました。

ついつい熱くなってしまうけど、ここでは「事実」を書けばいいだけ。誰がみても、納得のいくようなシンプルな情報だけ足してみました。

また、たくさん修正したら、自分の文章のスタイルがでてしまうので、私がウィキペディアの文章を盗んで、自分の論文に使ったと思われるかな?と余計な心配もしながら、過去の論文を引っぱり出して、同じ文章にならないよう気をつけながら書きました。

今回、ウィキペディアを修正してみて、アカウントを作ったら(メールアドレス不要)、誰でも簡単にオンラインに書き込めることにびっくりしました。

初めてデジタル・ヒストリーに貢献できたような感じがして、ちょっと満足しています。

修正後のウォルター・プレッカーのページを是非ご覧ください。

デジタル・ヒストリーとは何か?―イントロダクション

三回目の授業も終わり、そろそろ本題へ入らなければ!

 

ということで、まず、デジタル・ヒストリーとは、何か?

今までの歴史とは、どう違うのか?

歴史を学ぶ私達にとって、なぜ大事なのか?

このような質問について、ここ数回にわけて、考えてみます。

(実は、私もよくわからないので、宿題で読んだオンラインの資料や授業内容を、参考にしながら、進めていきます。)

 

今までの歴史の学び方・教え方とは、1890年代以降から、ずっとあんまり変わらなかったそうです。

歴史家が本を書く。教授が教室で授業を教える。研究者が図書館へ一次資料を探しに行く。

ほとんどの歴史家は、この従来のやり方に、満足しているかのようにみえました。

しかし、2000年代以降のパソコンの普及、インターネットの利用者の増加により、歴史をもっと楽しく、クリティカルに考えられるようにできないかと、多くの歴史家は考えるようになりました。

そこで、インターネットの力を借りて、歴史のなかにデジタルを取り入れました。

例えば、博物館や図書館は、ホーム・ページに加え、一次資料をウェブに載せる、ジャーナルは、論文をオンラインでも読めるようにする。

これが、デジタル・ヒストリーの始まりです。

おかげで、私たち、歴史をしている側は、歴史にたいしてのアプローチの仕方が、がらりと変わりました。

もっと、わかりやすい例をあげるとしたら、

資料を探す方法として、グーグルの検索でキーワード入力したり、WorldCatで簡単に検索したら、近くにある資料の保管場所までわかる。

大学からインターネットにアクセスしたら、生徒は無料でジャーナルを読むことができる。

フィールド・リサーチへ行く前に、どこの図書館に、どんな資料があるか調べられる。資料の一部をそのまま、オンラインに載せてくれてる図書館の場合、高い航空券と宿泊費を払わなくても、国内にいたまま研究ができちゃう。

または、リサーチ中、探した本や資料は、コピーして大量の紙を持って帰るのではなく、スキャンしてpdfファイルにて保存。パソコンを開いたら、いつでも簡単に読める。言うまでもなく、手書きのノートは不要。帰国してから、ゆっくりと資料を見ることができます。

H-Netを使い、学会や論文投稿の情報を探す。

それに加え、欲しい本は、本屋まで行かなくても、アマゾンで購入。(しかも、中身までをチラッと確認でき、買うボタンをワンクリックしたら、後は家まで届けてくれるまで待つだけ。海外の本もラクラク購入)

大学のシラバスは、入学式に重い履修要項(黄色い電話帳みたいな本)を持ち帰らなくても、家のパソコンから見れちゃう。

このように、インターネットとデジタルメディアの普及により、歴史の分野を超え、様々な面で、私たちの研究生活を便利に変えてくれました。

 

しかし、この便利なデジタルな世界には、いいことだけではなく、デメリットも付いてきます。

次回、そのデメリットについて、デジタルになることによって歴史家が向き合わないといけない問題について考えて、デジタル・ヒストリーとは何か、という質問をより深く追求してみます。

 

次回は、もうちょっとわかりやすく説明できるよう頑張ります。

そして、そろそろ、英語でブログを書かなければ、と焦っています・・・。日本語のままでは、クラスメートの人は誰もコメントしてくれないよね。

あと、この分野に詳しい方がいましたら、是非、教えてください!